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風にあたると涙が出る

風にあたると涙が出る

自転車を漕いでいると自然と涙が出てくる、冬の寒い時に外に出ると悲しくないのに涙が出てくるといった経験はないでしょうか。人は悲しくもないのに涙が出てしまうことがあります。目を乾燥から守るために涙が出る場合と、異物などの機械的な刺激により涙が出る場合、玉ねぎを切ったときに出る硫化アリルなどの化学物質の刺激により涙が出る場合です。

目を乾燥から守るためのセンサーは黒目(角膜)に付いており、目の表面の温度が33℃以下になると涙が出るしくみになっています。この温度センサーは、TRP受容体といって、冷たいといったセンサーだけでなく、唐辛子の成分であるカプサイシンによる辛いや熱さを感じるセンサーもあります。2021年のノーベル生理学医学賞はこのTRP受容体に関する研究でした。

玉ねぎを切ると涙が出る理由は、硫化アリルという物質にあるようです。玉ねぎを包丁で切ると、もともと玉ねぎに含まれているアミノ酸と、細胞が壊れて発生する酵素が反応して硫化アリルが発生するため、玉ねぎの皮を剝いただけでは涙は出ず、玉ねぎをみじん切りなどにすると涙が出ます。硫化アリルは気体となって目に届くため、眼鏡をかけてもほとんど効果はないようです。

悲しくて泣いたり、喜んで泣いたりするような感情だけでなく、機械的刺激、寒さによる刺激、化学物質によっても涙が出てくるのですね。

ウミガメは産卵の時に涙を流すのは、苦しみや痛みのやめではなく、体内の塩分濃度を調整するためと言われております。ウミガメは目の横にある塩類線という器官を通じて粘液と一緒に塩分を体外に排出しているようです。

人が悲しい時に涙を流す理由はまだ解明されていないようですが、涙を流すことでストレス解消を図るためと考えられているようです。他人に自分の感情を伝えるための社会的なコミュニケーションの手段でもありますが、主にはストレス発散が目的のようです。日々ストレスに晒されている現代社会において、泣ける動画や映画、小説などを読むことは心の安定を保つのに必要なことかもしれませんね。